都営大江戸線・東京メトロ半蔵門線の清澄白河駅、A3出口から徒歩三分。江東区観光協会の案内によると、このあたりは深川エリアの中心で、霊巖寺などの寺社や深川江戸資料館が残す江戸情緒と、東京都現代美術館に代表される現代アートやカフェの文化が同居する町だという。昭和初期に建てられた旧東京市営店舗向住宅が、いまもカフェやギャラリーとして使われている。その真ん中に、塀で囲われた広い庭がある。

岩崎家三代の庭

清澄庭園は、三菱財閥の岩崎家が築いた回遊式林泉庭園だ。資料によると、創業者の岩崎彌太郎が明治十一年(一八七八年)に大名屋敷跡の土地を取得して造園に着手し、弟の彌之助が引き継いで明治二十四年(一八九一年)に完成させたという。大正十三年(一九二四年)に久彌から東京市へ寄付され、昭和七年(一九三二年)に一般公開。昭和五十四年(一九七九年)には東京都の名勝第一号に指定された。広い池に大小の島を浮かべ、全国から集めた名石を配した造りで、その名石奇岩は都内随一といわれる。大正十二年(一九二三年)の関東大震災では、壊滅的な被害を受けた深川一帯で逃げ惑う人々の避難場所になったという歴史も持つ。

清澄庭園の園内風景

写真: Guilhem Vellut from Annecy, France / CC BY 2.0(Wikimedia Commons)

磯渡りで池のふちを歩く

歩き方はシンプルで、池をぐるりと一周するだけでいい。途中に、池の際へ置かれた石を伝って歩く「磯渡り」がある。足もとまで水面が近づき、一歩ごとに庭の眺めが変わっていく仕掛けだ。池畔には明治四十二年(一九〇九年)建造の数寄屋造り「涼亭」が建ち、東京都選定歴史的建造物に選定されている。大正天皇の葬場殿を移築した「大正記念館」も園内にある。季節を選ぶなら、江東区観光協会は五月下旬から六月中旬のハナショウブとアジサイを挙げ、恒例のガイドツアー「花菖蒲と遊ぶ」も開かれてきたという。園内には「つつじ山」もあり、新緑の頃や雪景色の美しさも知られる。開園時間や入園料は改定されることがあるため、東京都公園協会の公式ページで確かめてから出かけたい。

帰り道の楽しみ

庭園を出たら、近くの「深川清澄白河共栄会」へ。約八百メートルの通りに百軒ほどの店が並ぶ商店街で、帰り道の寄り道にちょうどいい。江戸の町並みを再現した深川江戸資料館まで足を延ばすのもいいし、隅田川へ向かえば、昭和三年(一九二八年)完成の優雅なシルエットで知られる清洲橋に出る。明治の庭から昭和の橋まで、この町は歩くほどに年代を行き来できる。