東武大師線の大師前駅を出ると、寺までは徒歩4分ほどだという。駅から寺へ続く参道は門前町で、環七通りから参道に入ると喧噪が遠ざかり、山門の先に大本堂が見えてくる。日暮里・舎人ライナーを使うなら、西新井大師西駅から徒歩約16分。王子駅や池袋駅東口から都営バス、赤羽駅東口から国際興業バスに乗り、「西新井大師」で降りる道もある。町の名の由来をたどりに行く散歩なので、急がずに歩きたい。

◆井戸が町の名になった寺

正式名称は五智山遍照院總持寺。真言宗豊山派の寺で、関東厄除け三大師のひとつに数えられる。公式サイトによると、天長3年(826年)、関東を巡っていた弘法大師がこの地に立ち寄り、悪疫に苦しむ村人を救おうと十一面観音像と自らの像を彫って、二十一日間の護摩祈願を行ったという。すると清らかな水が湧き、病はたちどころに癒えたと伝わる。その井戸がお堂の西側にあったことから「西新井」の地名ができたとされる。2026年は開創1200年にあたる。

本尊は十一面観世音菩薩と弘法大師で、ご利益は厄除・開運・方位除け・所願成就。江戸時代から女性の厄除け祈願所として知られてきたという。現在の大本堂は1971年の再建。境内には明治21年(1888年)に建てられたらせん構造の三匝堂があるほか、いぼ取りにご利益があるとされ、塩を供える「塩地蔵」もある。本堂に手を合わせたあとは、境内をひと回りしてこうした小さなお堂を探したい。

写真 境内の塩地蔵と、供えられた塩

◆縁日と花の暦で日を選ぶ

毎月の縁日は1日・8日・11日・18日・21日・28日。関東花の寺百ヶ寺の東京1番札所でもあり、公式サイトに載る見頃は、梅が2月上旬から、牡丹が4月上旬から、藤が4月中旬から、紫陽花が5月中旬から6月下旬まで。牡丹は「西の長谷寺」と並び称される名所ともいわれる。秋から冬にかけては、10月第一土曜の北斎会、11月の七五三、11月下旬からの紅葉、12月21日の納めの大師・熊手市と行事が続く。境内や本堂、御朱印の受付時間は時期によって変わり、年末年始は特別時間になる。出かける前に公式サイトで確認を。

◆帰り道の楽しみ

写真 参道に並ぶ草だんごの店先

帰りは来た参道を駅へ戻る。参道には弘法大師ゆかりの名物、草だんごの店が並ぶ。報道では、田口屋菓子舗の草だんご・くず餅・緑茶のセットが紹介されている。お参りのあとに店先でひと休みしてから駅へ向かうと、門前町の歩き方として収まりがいい。まだ歩けるなら、小林一茶ゆかりの炎天寺まで足を延ばす手もある。一茶の句碑が建つ寺だという。