住所でいえば江東区北砂。東陽町駅はバスの起点であって、商店街そのものは駅から少し離れた場所にある。公式サイトによると最寄りは都営新宿線の西大島駅で、A4出口から歩いて十五分ほど。東京メトロ東西線の東陽町駅からは都営バス都07系統に乗り、「北砂2丁目」で降りればすぐだという。鉄道駅から離れた立地ゆえ、バスで向かうのがこの町の基本らしい。江東区観光協会の紹介では、砂町一帯はかつて江戸の食生活を支えた農村地帯で、いまは歴史と商業が共存するエリアとされる。
◆「銀座」を名乗った昭和七年
公式サイトの歴史のページによると、この通りが「砂町銀座通り」と名づけられたのは昭和七年、一九三二年のことだという。前身は「砂町平和会」という会員二十八名の小さな商店街で、地元の名士が祝辞のなかで当時日本一といわれた銀座通りにふれたのが名の由来とされる。戦前は三十軒ほどの規模だったが、昭和二十年の東京大空襲で焦土となり、いまの形に復興したのは十八年後の昭和三十八年ごろ。安い野菜・肉・魚の生鮮三品を柱に発展してきたと公式サイトは記している。
昭和五十年代以降、周辺に公団住宅やマンションが建って人口が増え、公式サイトによれば平日でおよそ一万五千人、休日にはのべ二万人ほどが訪れる商店街になった。明治通りと丸八通りを結ぶ東西六百七十メートルの通りに、現在は百八十店が営業しているという。生鮮食品のほか、おでん種などの惣菜、呉服や日用品の店まで並ぶと江東区観光協会は紹介する。毎月十日には大幅割引の「ばか値市」があり、八月上旬には三日間の七夕まつりも開かれる。開催日は公式サイトの商店街情報ページで確かめてから出かけたい。
◆端から端まで、六百七十メートル
歩き方は単純でいい。明治通り側から入って丸八通りまで歩き通し、同じ道を戻る。往復で一キロ強、急がなければ小一時間の散歩になる。各店の営業時間や定休日は店ごとに異なり、公式サイトに一覧はないという。平日でも一万五千人が訪れるというから、通りが閑散としていることはまずないだろう。惣菜を買い込むなら、荷物が重くなる前に折り返してからにするのが順当だ。ばか値市の十日は人が集中しやすいはずで、静かに歩きたい向きは別の日を選ぶ手もある。
◆帰り道の楽しみ
帰りは仙台堀川公園へ回りたい。北砂六丁目から東陽六丁目まで延長三・七キロに及ぶ都内最大の親水公園で、江東区によれば「区民の森」をテーマにした七つの森や桜並木、釣堀、川遊びのできる親水施設があるという。東陽町駅・南砂町駅から徒歩十分ほどなので、商店街から東西線方面へ歩いて帰るルートに組み込むと収まりがいい。春は約九百メートル続く桜並木が花見どころとされ、夏には荒川河川敷で江東花火大会が開かれる。観光協会の砂町エリア紹介には旧大石家住宅や富賀岡八幡宮も周辺スポットとして挙がっている。バスで来て、公園を歩いて駅へ。それがこの町の一日の閉じ方だ。