金町駅の北口を出て、線路と反対の方へ歩く。駅から2分ほどで入る金町一番街通りは、葛飾区商店街連合会の紹介によれば、北口側の商店会の中でもっとも業種が入り混じる通りだという。ラーメン、焼鳥、うなぎ、カフェのあいだに青果店や酒販店、花店、美容室や不動産屋が並ぶ。商店会の設立は1990年5月、加盟は35店。中元と歳末には福引の大売り出しを恒例にしてきた、生活の道である。
その通りの中ほど、炭火やき鳥「くらや」の隣に、2026年9月上旬、和食の店が一軒加わった。「旬肴と土鍋ご飯 とうり」。地域ニュースの号外NET葛飾区によると、以前は家庭料理の居酒屋「にゃ~亭」が営業していた区画の居抜きだという。
◆「桃李もの言わざれども」の店
公式サイトによれば、店名の「とうり」は『史記』の一節「桃李もの言わざれども、下自ずから蹊を成す」に由来する。桃や李は何も言わないが、その実を求めて人が集まり、木の下に自然と道ができる。派手な宣伝ではなく、「料理がおいしい」「また来たい」という口伝えで人が集まる店を目指す、という意味を込めているという。
掲げるコンセプトは「旬を味わい、酒を楽しむ憩い処」。看板は季節ごとに入れ替わる旬魚の料理と、注文を受けてから一釜ずつ炊き上げる土鍋ご飯、それに料理へ寄り添う酒のペアリングの三本柱だと公式サイトは案内している。メニューは焼き物、揚げ物、前菜、土鍋ご飯という区分で組まれているようだ。
号外NET葛飾区の報道では、神田和泉町の蕎麦居酒屋「つなぎ庵」からの独立開業だとされている。つなぎ庵は長野県飯山市発祥の富倉そばを都内で唯一出す店として知られる。ただし、この経緯について公式サイトやつなぎ庵側の発信では直接の記述を確認できていない。蕎麦の店で腕を磨いた人が、金町では魚と土鍋ご飯を軸に据えた、という筋書きは、あくまで報道の範囲での話である。
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◆開店までの足取りと、その先
公式サイトの更新履歴には2026年7月17日付のエントリがあり、開店の2か月ほど前からサイトを公開して準備を進めていたことがうかがえる。9月3日頃には公式Instagramで「あと3日です」としてメニューを先行公開した。開店日は公式サイトが9月8日、Instagramのプロフィールと8月26日の号外NETが9月7日と、発信元によって1日のずれがあるため、本稿では9月上旬としておく。開店直後の9月12日の投稿では、鴨肉と旬菜の春巻を「裏看板メニュー」として紹介し、具材は月替わりで、9月は舞茸だという。
所在地は葛飾区東金町1-17-11。JR常磐線と東京メトロ千代田線が直通する金町駅の北口から、公式サイトの案内では徒歩約4分とある。営業時間や定休日、価格帯はここには記さない。開店したばかりの店は動きが早いので、最新の営業情報は公式サイトと公式Instagram(@touri_kanamachi)で確かめてから出かけてほしい。
編集部はまだ暖簾をくぐっていない。ただ、35店が肩を寄せる通りの真ん中に、口伝えで道ができることを願う店名を掲げた一軒があるというのは、金町らしい話だと思う。土鍋が炊き上がるまでの時間を、通りの音を聞きながら待つ人が、この秋どれくらい現れるか。歩いて確かめに行く日を、そう遠くない先に置いておきたい。