都営大江戸線か半蔵門線で清澄白河へ。A3出口から徒歩三分、というのが公式サイトの案内だ。焙煎の香るカフェの町としてすっかり知られるようになった一帯だが、ここは隅田川と小名木川に近い、もともと深川の中心だった場所である。現代アートの美術館とコーヒースタンドと江戸の下町文化が、同じ町内に同居している。深川江戸資料館は、その「江戸」の側へ入る扉にあたる。

靴を脱いで、天保の長屋に上がる

館は1986年の開館。江東区が事業主体で、江東区文化コミュニティ財団が指定管理者として運営しているという。2009年からの改修工事による長期休館を経て、2010年7月にリニューアルオープンした。地下1階から地上2階まで吹き抜けた大空間に、天保年間を想定した深川佐賀町の町並みが実物大で再現されている。長屋、八百屋、つき米屋、火の見櫓。掘割には猪牙舟も浮かぶ。名物は音響と照明による演出で、深川の一日が15分ほどに集約され、鶏の声の朝から provided…ではなく、町の光が朝から晩へとゆっくり移り変わっていく仕掛けだ。

この展示、柵の外から眺めるだけではない。店舗や長屋に実際に上がりこみ、生活用具に手を触れられる体感型で、ボランティアガイドによる解説も行われているという。館内には江東区ゆかりの大横綱・大鵬の無料展示コーナーもある。小劇場とレクホールを備えた文化施設でもあり、落語や新内流しといった伝統芸能の公開、着物をまとって展示室を歩く「着物DE江戸の町」などの催しが公式サイトで案内されている。開館時間や休館日、観覧料は変更や臨時休館があるため、出かける前に公式サイト(kcf.or.jp/fukagawa)で確かめておきたい。

深川江戸資料館の館内に再現された江戸の町並み

写真: Lionel Allorge / CC BY-SA 3.0(Wikimedia Commons)

帰り道の楽しみ

歩いて五分の清澄庭園は、池のまわりを巡って歩く回遊式庭園。館内で江戸の暮らしの時間を追ったあとに歩くと、季節の景色の見え方が少し変わる。萬年橋の方角へ足を延ばせば、小名木川と隅田川が合わさる川辺の風景に出る。松尾芭蕉ゆかりの碑や、深川七福神の霊巌寺、東京都現代美術館もこの町内だ。半日あれば、江戸と現代のあいだを何往復でもできる町である。