都営新宿線の船堀駅を出て、南へ歩く。住宅と小さな商店が交互に続く道を十五分ほど進むと、左手の視界が唐突に開けて、水面と白いスタンドが現れる。ボートレース江戸川。一九三一年に完成した人工河川・中川放水路の流路をそのまま使い、全国二十四場で唯一、河川の水面をレース水面とする競艇場だ。その外周に面した通り、東小松川三丁目に、家庭料理とダイニングバーを兼ねた一軒が開いたという。店の名は「魁~KAI~」。

昼は女将の手料理、夜は牛タンと刺身

開店を伝えた地域情報サイト「まいぷれ[江戸川区]」の記事によれば、グランドオープンは二〇二六年八月八日。業態は家庭料理&ダイニングバーで、昼は焼き魚や生姜焼き、漬け丼、日替わりパスタといった定食・丼を出し、夜は牛タンと鮮魚の刺身を看板に一杯やれる店として案内されている。同記事によると、昼の料理を手がけているのは一之江の酒場「池の屋」の女将だという。池の屋の女将自身も自分のInstagramで魁に触れ、昼のランチや昼飲みの場として、またカラオケの楽しめる店として紹介している。魁側の料理紹介の投稿にも「#いけのやさん #協賛」のハッシュタグが添えられており、二軒の関係はそこからも読み取れる。

写真 カウンター席と個室の入口が並ぶ店内。昼の定食が出るカウンターまわりの引きの画
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公式Instagramより

同じ記事によると、刺身に使う魚は豊洲から毎日仕入れているという。席はカウンター九席と、十席の個室。日本酒、ウイスキー、焼酎などの酒類を揃え、店内にはカラオケの設備もあるとされる。昼の定食と夜の一杯を、九席のカウンターが一日のうちで受け渡していく構えになっている。

公式Instagramでは、開店までの過程が段階を追って投稿されてきた。飲食店営業許可の取得を告げる「〜営業許可獲得篇〜」、品書きを組み立てていく「〜メニュー開発篇〜」。オープン前の準備をそのまま見せる発信で、開店後も料理の紹介が同じ調子で続いている。

競艇場から徒歩三十秒という距離

立地について、まいぷれの記事はボートレース江戸川から徒歩三十秒と書く。店の公式Instagramのプロフィールでも、同じく「ボートレース江戸川まで徒歩30秒」と自ら案内している。鉄道の最寄りは都営新宿線・船堀駅で、東小松川三丁目からは約一・一キロ。次いで東大島駅が約一・五キロ、一之江駅が約二キロという距離になる。競艇場までは船堀駅から徒歩約十五分、駅前からの無料送迎バスなら約五〜八分、JR平井駅前からも約十五分で着く。最新の営業情報や品書きは、公式Instagram(@kai_desu_bar_desu_)で確認してほしい。

写真 店の前の通りから見たボートレース江戸川の外周。店と競艇場の距離感がわかる引きの一枚

駅前の繁華街ではない。競艇場と住宅地に挟まれた通り沿いで、レースの日の客足と、ここに暮らす人の行き帰りが同じ一本の道で重なる。昼は定食、夜は刺身とグラス。その両方を一軒で引き受ける構えは、この通りを歩く人の時間割をそのまま写している。川の東の、地図の上では目立たない一角に、灯りがひとつ増えた。