東京メトロ半蔵門線の清澄白河駅、A3出口。地上に出て一分も歩けば、江東区白河一丁目の複合施設「Beeslow」に着く。その二階に今年二月十四日、ウクライナ家庭料理の店「DOMIVKA Ukrainian Soul Tokyo(ドミウカ)」が開店した。このあたりは、ウクライナ出身の大関・安青錦関が所属する安治川部屋からほど近い。店の成り立ちは、この土地柄と分かちがたく結びついているという。
◆部屋の近くに、故郷の食卓を
江東経済新聞によれば、開店のきっかけは、安青錦関を支援するウクライナの人々が、部屋の近くでウクライナ料理を食べられる店をつくろうと、二〇二五年の夏から計画を進めたことだった。日本経済新聞の報道では、安治川部屋が店に一部出資しており、部屋で開かれたウクライナ風のちゃんこ会で関取が故郷の味を懐かしんだことが、店の誕生につながったと伝えられる。開店後は安青錦関自身もこの店に通っているそうだ。
厨房に立つのは、ウクライナで四十年のレストラン経験を持つシェフ、イリーナ・ストゥリレツさん。開店に先立って実施されたクラウドファンディングのページによれば、日常的な停電に直面する母国を離れ、日本在住十八年の娘で支配人のヴィクトリヤさんとともに働くため来日した。運営会社の代表は、過去にアフリカ料理店やジョージア料理店を立ち上げてきた真下博志さんだという。
◆ボルシチと、「家」という名前
看板メニューは、ビーツの自然な甘みを生かしたボルシチ。ポテトやチーズ、ベリーなどを包むウクライナ風水餃子のヴァレーニキ、ポテトとタマネギのパンケーキであるデルニーといった伝統料理が並び、ウクライナ産のワインやスピリッツも揃えているという。
店名のDOMIVKAは、ウクライナ語で「家」、帰ってきたくなる心地よい場所を意味する。旅行メディアの紹介記事によれば、店内はウクライナの伝統的な家屋をイメージした白基調の温かな内装だそうだ。クラウドファンディングのページでは、料理を通じた日本とウクライナの文化交流の拠点を目指し、イベントの開催も構想されていると記されている。
場所は清澄白河駅A3出口から徒歩一分、白河一丁目のBeeslow二階。営業時間や定休日などの最新の営業情報は、公式サイトと公式Instagram(@domivkaukraina)で確認してほしい。
相撲部屋のある町に、遠い国の家庭の味が根を下ろした。同郷の大関が通うというその食卓は、川の東の新しい風景のひとつになりつつある。