行き方は二つある。ひとつは都電荒川線(東京さくらトラム)で終点の三ノ輪橋停留場まで乗ること。早稲田から続く路線の始発・終着にあたる停留場で、降りればすぐそこが商店街の入口だ。もうひとつは東京メトロ日比谷線の三ノ輪駅から歩く道で、こちらは徒歩約6分。荒川区の観光公式サイトは、築地や銀座、上野、六本木といった都心から日比谷線一本で来やすいと紹介している。
はじめてなら、都電で来るほうを勧めたい。三ノ輪橋停留場は関東の駅100選の一つで、平成19年に昭和30年頃をイメージしたレトロ調のデザインに改修されたという。停留場の風景と商店街の空気が地続きになっていて、電車を降りたところからもう散歩が始まっている。
◆電車が連れてきた商店街
商店街の公式サイトによると、誕生は大正8年(1919年)。その6年前、大正2年に王子電気軌道、つまりいまの都電荒川線の前身が開通したことがきっかけで形づくられたという。戦前の昭和18年頃に店舗数がピークに達し、戦後も都内有数の賑わいを誇る商店街として続いてきた、と同サイトは説明している。線路沿いに店が並ぶのは偶然ではなく、電車とともに育った通りだからだ。
通りは停留場前から荒川一中前停留場の方面へ、屋根のかかったアーケードとして一直線に続く。長さは出典によって約400メートルから500メートル弱まで幅があり、公式サイトによれば約80店舗。惣菜店や生活用品の店が並ぶ、日々の買い物のための商店街である。区の観光公式サイトは、昭和の雰囲気を残した商店街として、映画やドラマ、ミュージックビデオの撮影が頻繁に行われていると紹介している。
歩き方の提案はひとつだけ。まず端まで歩き切り、折り返しながら買うこと。一直線の通りだから迷う心配はなく、行きに目星をつけておけば帰りの荷物が軽くて済む。雨の日でも傘をたたんで歩けるのは全蓋アーケードのありがたいところだ。なお、商店街全体としての営業時間や定休日は決まっておらず、店ごとに異なるという。目当ての店があるなら、公式サイトの店舗紹介ページで確認してから出かけたい。
「三の輪」という地名についても、公式サイトは二つの説を挙げている。「水の鼻」と呼ばれた地形に由来するという説と、農具の箕(み)のような半円形の土地から「箕輪」になったという説。どちらとも決めずに、足元の土地のかたちを想像しながら歩くのがちょうどいい。公式サイトでは毎月11日を「弁天様の日」として弁天セールを案内しているほか、福引や弁天市、縁日大会といった催しも告知している。日程は年によって変わるため、同サイトのお知らせを確認してほしい。
◆帰り道の楽しみ
区の観光公式サイトは周辺の立ち寄り先として、三ノ輪橋停留場と三ノ輪橋おもいで館、公春院、円通寺を挙げている。買い物袋を提げたまま、もう少しだけ町を歩く口実になる。
帰りは三ノ輪橋から都電に乗りたい。都電沿線はバラが名物で、区は三ノ輪橋停留場の周辺をおすすめの場所に挙げている。見頃は春と秋。その季節なら、始発の電車に腰を下ろし、動き出した車窓から花を眺めるところまでを、この商店街の散歩に含めておきたい。